塩トマト論文

以前、NEDOマッチングファンドでお世話になった研究がようやく論文という形で世間に発表できて、ほっとした。



カンパリ種という日本では珍しい品種のトマトを、パンパンに太らせた肥満ゼブラフィッシュに食べさせると、ちょっとやせて、血中の中性脂肪が減って、さらに脂肪肝が治ったよ。そしてDNAチップでこの肝臓を調べたらsrebf1という脂質合成遺伝子群の転写因子の発現が減っていて、たぶんそれはその上流にあるfoxo1遺伝子の発現上昇によるものだろう。んでもってこれらの遺伝子を動かしているのはリコピンではなくベータカロテノイドかポリフェノールの何かじゃね?という内容。


さてこのカンパリ種、アメリカなぞにいくとよく見かける小ぶりの甘~いトマトなのですが、日本ではほとんど売っていない。サイズは小さいが桃太郎なんぞよりもっと甘くコクがある(アミノ酸が多いのかも)のに残念だ。

このトマトは1st authorであるデリカフーズ社の田井中さんが、熊本で栽培、販売されているものを見つけてきたのである。この地方は、ミネラルが多い干拓地でトマトを育てることにより、成分(含むうまみ)を濃縮させる「塩トマト」を作ることで有名である。さらに研究で使用したトマトは、 この地方の井手さん(T.K.EVOLUTION FARM)がEnza Zarden社のカンパリ種を特殊な技術とミネラル土壌でさらにうまみ濃縮栽培したものである。

このトマト、本当においしい。単に甘いだけでなく、こくがある。実験では凍結乾燥でパウダー化したが、この粉がまた甘くておいしい。ごはんにかけて食べられるくらいだ。

もうすぐ塩トマトの季節。楽しみ、楽しみ。